【特別書き下ろし】憾婚(いこん)

16/55
前へ
/100ページ
次へ
それから2日後の7月8日に、九州から近畿東海一帯にかけての広い範囲に梅雨明けの発表がありましたので、これからしばらくの間はものすごくむしあつい日が続くのでありました。 話は、梅雨明けから2週間後にあたる7月22日のことでありました。 ところ変わりまして、田代外町にあります大手製薬会社の工場にて… この日は、親会社の社長さんから工場の従業員さんたちの労をねぎらうために金一封が支給されることになっていました。 時は、午前10時半頃のことでありました。 工場の現場主任の男性は、従業員さんの名前を一人ずつ呼びまして金一封を手渡していましたが、智太郎は借家のもめごとを抱えていることを理由に金一封を支給しませんでした。 智太郎は、自分にだけは金一封が支給されなかったのでおかしいなと思ってどうして自分の金一封がないのかと現場主任に聞いてみました。
/100ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加