挽歌

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「重房…お前2ヶ月前に、イリムコした先の家で嫁の家族たちからきついイビリを受けたと言うてはったな…」 「ああ…いうていたよ。」 「あのな…お前がムコに行っていた家の家族は、ムコさんを粗末にするだけ粗末にしていたのだから家が燃えてしまったのと同時に焼け死んだ…お前の嫁がおとこぐせが悪いことと嫁のテテオヤの性格が悪いけんあなな悲劇に遭ったんだよ…お前、被害者なんだろ。」 男からの問いかけに対して、重房は気乗りしない声で『嫁の家族からきついイジメを受けた…』と答えていました。 男は、過度にやさしい声で重房にこう言いました。 「……だろ。だったら実家へ帰った方がいいと言うているのだよ…心配せんでもかまへん…お前の両親はよーくわかっているよ…お前がムコに行った先の家できついイビリを受けていたことくらいよぉわかっているよ…」 「ホンマなのか?」 「なにを言うてはるのだ!!お前のつらさを理解している人たちと言えば親きょうだいたちだけなんだぞ!!実家の親きょうだいたちは、お前のことをやさしく出迎えてくれる…オレの言うことを信じろ!!お前の親きょうだいたちは決してお前のことを見棄てるようなことはせえへん!!今のうちだったら間に合うから…手遅れにならへんうちに実家へ帰れ!!今ならまだ十分間に合う…やり直しがきくうちに実家へ帰るのだ!!」
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