挽歌

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男は、重房に対してやり直しがきくうちに今宿の実家へ帰れと熱くさとしていましたが、重房の耳には男の言葉が聞こえていませんでした。 重房が今宿の実家へ帰りたくないと言う気持ちになっている元凶は二つありました。 ひとつは、重房の3人の兄たちの結婚で重房が暮らすスペースが極力狭くなっていることと、3番目の兄嫁の女子短大生のイトコ(22歳)が卒業するまでの間重房が使っていた部屋を使われていたこと… もう一つは、その際に3人の兄たちから『重房が暮らすことができる広いおうちをみつけるから…』と言うてうそをつかれたあげくに、福島県の農家の家のムコにされたこと… 他にも、焼死してしまった妻がシングルマザーだと言うことが大ウソだったこと…焼死してしまった妻の祖母が毬村の家から援助してほしいと言うことをダシにしてカネを借り入れていた上に、カケマージャン目的に使われていたことなど… あと、毬村の家の家族からもいじめられていたことなどが重房にはありましたので、日増しに怒りが高まっていたのでありました。 翌日の深夜に、重房は小倉の旦過市場の通りにあります居酒屋で居合わせた客の男数人と店内でドカバキの大ゲンカを起こしてしまったあと、ショカツの警察署の留置所に拘束されました。 3月7日頃に、重房の長兄夫婦が小倉北区内で暮らしている知人の弁護士さん夫婦に身元引受人をお願いする形で今宿で暮らしている実家へ帰宅することとになりました。
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