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──お察しの通り、俺たちは超お坊ちゃま学園に在籍している。その名も霧ヶ丘学園。幼稚園から高校までエスカレーターの私立学園だ。初等部までは共学だが、中等部からは霧ヶ丘女子学園と分離し、男女別になる。勿論、俺たちはお坊ちゃまというわけではない。全寮制超進学校。食費も光熱費も全部タダ。この文句に釣られてそれなりに勉強を頑張って、高校から途中入学したのだ。亮が行くなら俺もー、と軽ーい感じでついてきたのが孝希というわけ。その努力を後悔している今日この頃なのだが……もう今年度から2年生である。今更転校というのも癪だ。腹を括って卒業するしかないだろう。腐っても名の通った有名高校。人生の汚点にはなるまい。
そんなこんなで学園生活に耐える覚悟を決めたわけだが、どうにも解せぬ。
「なーんでみんながみんな男色を嗜んじゃうんでしょーね……」
「どうした急に」
俺は別に偏見はないし、お互い好きなら性別なんて小さな問題だと思う。男同士だ女同士だととやかく言うのは最早時代遅れだ。しかし……しかしだ、ここまで見事にみんな仲良く染まっちゃうってのは……どうなんだ。俺たち外部生はノーマルだが、あとの面々は……。いや、閉鎖的空間に男ばっかで詰め込まれてソッチに行ってしまうのはわかりたくはないがわからないでもないんだが……
「なぁ亮、お前知ってる?」
久し振りに悶々としていると、孝希がペットボトルをポンと投げて言った。ペットボトルは綺麗な放物線を描いて道端のゴミ箱に吸い込まれる。一応コイツはバスケ部だ。
「ナイッシュー。……で、何だって?」
「転校生、来るんだってよ」
「は?」
転校生? こんな時期に?
「いや、今2年の4月だぞ。去年受験して入学しときゃいいじゃねぇか」
「知らん。何かワケアリなんだろ」
ワケアリねぇ……何となく嫌な予感がするのは気のせいだろうか。
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