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そう言うが早いか、お姉さんはカウンターの中から何かを取り出した。
「これを着けて個室にどうぞ!」
何という事だろうか。お姉さんがいい笑顔で差し出すのは、紛れもない猫耳である。それもパーティー用のおもちゃではなく、結構リアルなやつだ。どうやら黒猫と虎猫らしい。
……やっぱりな! 何か付くと思ってたよ! ああ、まんまとハマってしまった。
「これを……着けるんですか」
「はい! ねこちゃんになりきって、ふれあいを楽しんで頂きます!」
俺の猫耳なんか誰に需要があるんだ。
どうぞ! と差し出されるそれに怖じ気付いていると、何を血迷ったか、西嶋が黒猫の猫耳を受け取った。そしてそのまま帽子を脱いでいる俺の頭にセットオン。
「ぐふぅっ……」
何らかのダメージを負ったようだ。
失敬な。俺の方がダメージだ。
「笑うなら笑えよ……お前だって道連れだからな」
うりゃ、と虎猫の猫耳を着けてやる。
似合わねぇと笑ってやるぜ! と息巻いていたが、なんてこった、似合う。猫っつーかまんま虎だ。肉食な感じが似合ってしまっている。イケメンは何でも似合うってか。何だこの敗北感。
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