初デート(笑)

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そんなこんなで猫達と1時間たっぷり戯れ、俺はほくほくして個室を出た。西嶋は終始奇声を上げながら写真を撮っていたが、物凄く満足気な顔をしているので問題ない。なぜか同時に瀕死の重症にもなっているが、問題ない。多分。 「お楽しみ頂けましたか?」 例のバイトのお姉さんがカウンターでにっこり微笑む。勿論と頷けば、嬉しそうに笑みを深めた。 「では、最後に記念撮影をしましょう! 猫耳はそのままでお願いします!」 なんと。記念撮影とな。猫耳野郎2人で? 普段ならエッとなっていただろうが、猫カフェを心行くまで楽しんだ俺は最高にハイになっている。猫耳で写真なんてなんのその。今ならジョジョ立ちをしながら厨二な台詞を吐けと言われても恥ずかしくない自信があるぞ。 「俺のスマホでお願いします」 躊躇なくお姉さんにスマホを渡すと、急に西嶋がわたわたし始めた。 「うぇっ!? と、撮るのか? 俺も?」 「当たり前だろ。俺だけ撮ってどーすんだ」 お前の猫耳にこそ需要があるんだぞこの野郎。 「俺はお前にバシャバシャ撮られ続けてたんだからな。一緒に撮らなきゃフェアじゃねぇ」 「ぐぬ……それもそうか」 眉間に皺を寄せて観念した西嶋が、俺の隣に立つ。お姉さんはにっこり……というかによによと口元を緩めながら俺たちにスマホを向けた。 「はい、もうちょっと寄りましょうか~!」 「え、こうですか?」 「もっともっと! ちゃんと引っ付かないとカメラに入り切りませんよ~!」 いや嘘だろ。 肩が触れ合う距離だぞこれ。 「ほらほら、もっとぎゅっと引っ付いて!」 ハリーハリーと急かすお姉さんに、俺はハッとした。これは……この感じは馴染みがある。あり過ぎる。そう、“腐敗臭”だ! ──お前もかブルータアアァァァァァス!! ええいそこまで俺と西嶋の絡みが見たいってんなら見せてやる。今の俺の精神は強化仕様だ。目ェかっ開いて見とけやモルァ! 「ぇあ!?」 ガッシリと肩を組むと、西嶋が変な悲鳴を上げた。 悪いな西嶋。こういう腐った人間は恥ずかしがるor嫌がる2人に萌えてしまうものなんだ。俺はこの短期間で梶本から学んだ。ここで退いては敵の思う壺子ちゃんだぞ西嶋ァ!
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