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3.
「ママさんからメールが来てる!」
朝食が終わり俺が後片付けをしている間、あいつはソファーで腰を摩りながらゴロゴロしていた。
「お前、腰、大丈夫か?」
ベッドから起き上がるのに、随分と苦労していた。勿論、俺はあいつを起こしてやり、風呂場まで連れて行った。すると「少し温まってくるな」と言うので、その間に朝食の支度をしながら待っていた。昨夜、少し激しく求め過ぎた自覚は『大有り』だ。
あいつが食卓に着いたタイミングで、恐る恐る聞いてみた。
「うーん……ちょっとな。でも大丈夫だぞ? 久々で気持ち良かったし、こっちも盛り上がっちゃったしな。自業自得だと思うし…」
若干、視線を逸らしながら、鮭の塩焼きを箸でほぐしている。
「そうか。飯食ったら俺が片付けはしておくから、出勤までの間ソファーで少し休んでろ。無理すんなよ?」
俺も照れ臭さから、まともにこいつの顔が見られない――味噌汁をズズズッと啜って、顔を隠した。
「ゲッ。『ママさん』かよ! で、用件はなんだって?」
俺の反応もデフォルトだからか、あいつは気にも留めずに話を続けた。
「久し振りに帰国したから、僕達に会いに来たいんだってさ。外国のお土産もあるらしいぞ?」
最悪だ。あの人(こいつの母親=ママさん)が来ると、ロクなことが無い。しかし――曲がりなりにも、こいつのたった一人の肉親だ。俺は、こいつの伴侶として、正々堂々と戦って(?)否、もてなしてやろうじゃないか! 気合いを入れろ! 俺ッ!
「土産ってなんだろうな? また『ヘンチクリンなもの』じゃないと良いんだけど」
「そこは、あの人の事だ、変な期待をするんじゃないぞ? で、いつ来るって?」
「ん? 今夜」
「……えッ?」
「うん?」
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