C制

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「で、どこいくの。裕紀くん」  菜月の言葉を聞いて、思いついた。  行く先をこいつに考えさせることにしよう。裕紀はそう決めると、行き先の選定に入った。  田舎には別で帰る予定なので、函館行きのスーパー北斗は却下。どうせなら果てしなく遠くにぶっとんでみてもいいかもしれない。  その時、視界の端に、稚内(わっかない)行きのスーパー宗谷(そうや)の発車時刻が見えた。いいじゃないか。道東は行けてもせいぜい網走(あばしり)釧路(くしろ)だ。いっそ北端を目指してみよう。  裕紀は、菜月に左か右かを選ばせることにした。左を選べば、みどりの窓口で稚内行きの乗車券を買う。右を選んだ時は、新千歳空港行きの快速エアポートに乗る。そして空港に着いた時の選択肢は、札幌に逆戻りするか、飛行機で北海道を出るか。これはいい。行き当たりばったりもいいところだ。 「菜月」  呆けた顔をして発車案内板を見ていた菜月に、話しかける。 「なに、裕紀くん」 「おまえ、左と右、どっちが好きだ」 「右」  少しくらい迷え、ばかやろう。  裕紀は口の中だけでもごもご呟くと、無言で券売機の方へ歩を進めた。
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