第一話 【第一地区《ファースト》】ーイマノチキュウー

10/43
前へ
/169ページ
次へ
「それこそまさかですよ。何の為にここに投資してきたと思っているんですか、勿体無い」  ソルトは肩を竦めて大仰なリアクションで天野に切り返す。 「いいですかアマノン、そもそもNM(ニューマン)はどうしてここに向かってくると思いますか?」 「は?理由があるの?」  天野は彼女からすれば意図が不明な質問に、首を傾げる。 「当たり前でしょう。でなければ、私が彼をここに連れてくるわけがない」  そういって俺を指すソルト。俺はそれに何を答えるでもなく、ただ黙っている。 「陸地はここ以外にもあります。二割しか残っていないとはいえ、面積で言えば一番小さいんですよ?取るだけならばもっと広くて楽なところもあったはずです」 「……確かにそうだけれど、じゃあどうしてここなのよ?」  天野は少し考えるが結論は出なかったようだ。その疑問を素直に口に出すとドヤ顔でソルトが答えた。 「決まっているじゃないですか。ここが地上で一番発展しているからですよ」 「は?発展している?」  天野は不思議そうな表情をした。まあ、天野ならーー否、【スペーシアン(宇宙生まれ)】ならば大体そういう反応を示すだろうな。 「参考までに、天野。あんたはこの島がどういう風に見えてる?」  首を捻る天野に俺は質問を投げかける。すると予想通りの返答が返ってきた。
/169ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加