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* 一時間前・【第一地区】人類軍基地
「哨戒任務、ですか」
「ああ、すまんが人手が足りなくてな。二、三人引っ張って行ってほしい」
上官に呼び出されてブリーフィングルームに来てみれば、そんな事を言われて思わず間抜けな声を出しそうになる。
その上官ーー基地の数少ない女性である、雨宮一輝大佐は、目の前のPCと書類に忙しなく目線を動かしており、私を見ていない。
ここのトップが忙しく手を動かしているのは重要書類が溜まっているのか、それとも事務仕事を任せられる人材がいないのか。
おそらく後者だろう、部屋の隅にある机の上で死んだように眠る二人の人間ーー階級と名前は不明、というか今顔を合わせたばかりーーが、それを如実に物語っている。
「あの、雨宮大佐。私はてっきり昨日の件で怒られるかと思ったんですが……」
昨日の件というのは、私が配属初日でやらかした【味方機撃墜事件】である。
「ん?ああ、あんなもんこの基地では割としょっちゅうだ。その程度で処分なんてせんよ、めんどうくさい」
「いやいやいやいや」
シレッと言い放つ大佐の言葉に、流石の私もツッコミを入れざるえない。
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