第一話 【第一地区《ファースト》】ーイマノチキュウー

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 事実、雨宮大佐が言った通り、宇宙と地球ではその技術レベルに大きな差がある。  その理由は、宇宙は人間が住むには厳しすぎる環境だったせいである。  何せ宇宙線や水と空気の問題、食糧の自給や交通インフラ等々、解決すべき問題は山の様にあった。  それを解決すべくコロニーでは技術が爆発的な加速度で進歩していったのだ。  おかげで生活は豊かになり、問題はほぼ無くなった。わずか百年足らずで進歩した技術は、地球の数世紀先を行っていた。  そこで、発展した技術を地球に逆輸入しようとした時に、思いもよらない問題が発生した。  宇宙で作られた技術は、当然の事ながら【宇宙で使う事】を前提として作られている。つまり、地上で使おうとしたら、そのほとんどが使い物にならなかったのだ。  それにより、宇宙は地球の数千年先の技術を持ってしまった。地上で使われている技術は、宇宙の物をデチューンして、地球で使えるようにした劣化品がほとんどで、しかもそれが最新技術として使われていたりする。
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