第一話 【第一地区《ファースト》】ーイマノチキュウー

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 その為、【常識の隔たり】と呼ばれる事象は問題となっているが、解決は成されていない。  少なくとも、解決するには後五、六世紀は必要だろうと専門家や技術者の間では言われているらしい。 「皮肉なものだ、住みやすい世界にする為の技術がその世界を快適にし、逆に住みやすかった世界を快適にしようとしたら、そこに適応する事が出来なくなるとはな」  本当に、神あらぬ当時の技術者が聞いたら【お釈迦様でも思うまい】と笑うか、【こんなはずでは……】と愕然として嘆くかどちらだろうか? 「ともあれ、あの件は不問だ。むしろ軽々に洩らさんでくれよ?言えば私の首どころではすまんからな」 「はあ……」  まあ確かに、あんなこと司令官の責任問題で済む話でもないでしょうけど…… 「あれもアイツ等なりの新人歓迎というやつさ。というわけで、親睦を深めるために共同任務を受けてくれないか?」 「了解しました。では人員と機体の調整が終わり次第、哨戒任務に当たります」  理由はどうあれ暇を持て余していたのは事実。私は敬礼をして任務を受けるとそのまま格納庫に向かう。  腰から黒いケースのタブレットを取り出すと、各機体の状態をメールで整備班に送信して確かめる。  幸い基地内の機体は私が落とした一機を除けば、全てすぐに出撃できる状態らしい。  流石、地上の最前線と言ったところだろう。平和ボケして返信すら返さない宇宙軍とは大違いだ。
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