第二話 【黒き亡霊《ブラック・ゴースト》】―ロクデモナイシンジツ―

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「……何でだ? こんな重要な話が対して報道されていないなんて……あっ、報道規制か」 「いや、報道規制ならそもそも情報自体が流れないはずだ」  つまりこの内容は、パニックも何も引き起こさない、日常のニュースでしかない。 「そもそもそこに書かれている通り、温暖化で沈むのは砂浜程度。陸地が2割になるなんてあり得ません」  実際、【氷は水になれば量が減る】。例え海面の露出部分が全て溶けても、陸地の大半が海になるというのは起こり得ない。 「でも現にーー」 「そう、陸地はほとんど残っていない。ですがその原因は温暖化などという平和な理由ではない」 「……まさか」  雨宮は察してしまった。  先程ソルトは【別の物質に変換した【O】を戻せた】と言った。  そこに【黒き亡霊(ブラック・ゴースト)】が行ったLSライフルの瞬間改造の話を思い出す。  更に【別のアプローチ】と続けたその内容とはまさか 「カムイ、タイシン両博士とも天才でしたが、二人とも狂人でした」  ソルトは苦い表情で言葉を紡いだ。 「彼等は【別の物質を【O】に変換する実験】を始めたのです」
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