第二話 【黒き亡霊《ブラック・ゴースト》】―ロクデモナイシンジツ―

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「……ここまで来て引き下がる位なら、さっきの時点でついてきてません」  もちろん、それが叶わないだろうと分かっていても、聞かざる得ないのだが。 「私の言い分が一方的だったのは認めます。でも、あなたは私が【間違っている】とは一言も言わなかった」  一見すると否定された様に聞こえたが、心夜はついぞ、その意見を否定しなかった。  それどころか【悪くない】とまで言い切った。 「自分の未熟は理解しました。ですが、姫華さんも【無理に変える必要はない】と言ってくれた」  間違いから学べるのが人間であると、スノウは信じている。  自分は間違ったと指摘されたことがあまり無いので自分の意見に妄信的になってしまっていた。 「だからこそ、正しい【自分の理想】の姿を見つける為にもあなたを監視します」  ああ、うん。微妙な距離感は譲らないんだな、と心夜は思う。 「それに、しっかり見てないとあなたが何するかわかりませんしね。……姫華さんは色々な意味で頼りにならないですし」 「あっれぇーっ!? スゥちゃん、最後の一文どういうこと!?」 「異様に仲が良いのでむしろ協力しそうという意味と、元々常識ズレしてて頼りにならないという意味です」 「そこズバッと言っちゃうの!?」  先程迄の真面目な空気は何処へやら、スノウと姫華がかしましく騒ぎ始めた。  「私、弥生少尉ほどふざけてないよ!?」「だから余計に質悪いんです」とじゃれあっているのを見て、若いっていいなぁと思う、実年齢33の心夜。
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