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 通学路を逸れてやって来たのは、町の端に位置する小さな神社だった。ちょうど例の山を背後にして建っているところだ。  徐々に日が落ちてきている。寒さに腕をさすっていると、幼なじみが突然袖を引いた。何事かと訊く間もなく、社殿の陰まで連れていくと、『静かにね』と仕草で示して山を指す。首を傾げつつ、そちらに視線を向けると――  (え)  暗くなりつつある山肌。その中腹で、何かが動いている。熊か、いや今は冬だから猪か何か……  待て。猪があんなに大きいわけがない。何せ山に生えた木の、こんもりとした梢から見え隠れしているのだ。ついでに動き方も、ぴょんぴょんと飛び跳ねるような不規則なものだし。  風に乗って、どすーんどすーんという重たい音が聞こえた。ついでにちょっと、いやかなり生臭いにおいも漂ってくる。半ばパニックになりつつ幼なじみを振り返ると、『ね?』とでも言うかのように目くばせされた。――が、  「――あ、やばい。こっち向いた」  だから何が!?  薄暗い中でもはっきりわかるほど顔を引きつらせて、彼女が三度腕を引っ張る。背後から響くずどどどど、という何かの足音を必死で聞かなかったことにしつつ、私たちは全速力で神社から逃げ出した。  
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