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先週、ヤツがいきなり、「天気がいいから中庭で昼飯食おうぜ」と言い出して、芝生に寝っ転がって掌で太陽を隠しながら、
「男の子は何でできてる?」
と、歌でも歌うように突然口にした。
茶色く染めた髪と緑色の芝生。
太陽を隠す長い指。
「はぁ? 何だそれ」
「ぼろきれやカタツムリ、犬のしっぽ。そんなものでできてる」
ヤツの言葉はいよいよ理解の範疇を超えていて、俺は眉間にしわでも寄せてヤツの顔を眺めていたんだろう。寝っ転がったまま、こっちを見ながらプッと噴き出して、
「マザーグースだよ。あの、ちょっと頭いかれてるような童謡」
ちょうどその時、予鈴が鳴って、ヤツが先に立ち上がり、さっき来た時と同じように教室まで並んで歩いて帰った。
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