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そして、ようやく、すべての下準備がすんだ。
高度百五十万キロの位置に、最後のリュックを置いて、わたしはいったん、底までもどることにした。これよりさき六十万キロの距離なら、そこに置いたウラン鉱石の発電で、壁を越えることはできる計算だ。
わたしはワイヤーを使い、千メートルごとの庇で風力発電をくりかえしながら下降した。下降は引力にまかせればいいので、エネルギーが少なくて助かる。
底までおりたわたしは、エネルギーを満タンに補給し、体じゅうの関節に油をさした。ほこりを落とし、配線や回路に異常がないか自己分析した。
しっかりメンテナンスをしたあと、故障などの急場に必要だと予測できる部品を小型のリュックにつめた。それを背負うと、いよいよ、壁のむこうをめざすのだ。
以前のわたしは性急で、結果を得ることに先走りすぎていた。
でも、今のわたしならできる。
わたしは自分の成功を信じて疑わなかった。
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