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奥行き70メートルある工場の屋根の下で、自分とベトナム人とブラジル人とで、ジェットヒーターを囲んでいます。
現在、昼休み。周りには建物に使われる鉄や、それを加工するための 機材があります。
ムサイ男同士、顔に鉄粉をつけて他愛もない話をするのが日常です。
自分は日本人よりも、彼等と話しているほうが気が楽なので、この時間帯は大抵、彼等といます。
自分のスマートフォンが音を鳴らせます。
彼女から連絡が来ました。
私、たまらないの。新しい感覚を味わって、心が平静ではないの。妄想が膨らんじゃう……。
あなたに会いたい。ねえ、今度は違うホテルに行かない?お互いの体を流しあって、もっと近くに感じたいの?
思わず顔がニヤけてしまいました。自分も罪な男になったものです。こんなにも求められてしまうなんて……。
「ナンダイ、キュウニワライダシテ、カノジョーカラカイ?」
ベトナム人はからかうような言い方をします。
自分は口許を隠しながら、
「ええ……。そうなんです」
と言いました。
「ヒュー。ヤルジャン」
自分は照れてしまいます。
まったく、このような場所で硬いのは鉄だけで良いのに……。
センテンスが思い浮かぶ。
興奮が己のモノも硬くする
なんという品のない韻文でしょうか……。
我ながら拙い文だと、つくづく思います。
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