33人が本棚に入れています
本棚に追加
確かに…と、思わないこともないが、ここはノア様の従者として、通さなければならないものがある。
「アホか。俺はあの人を、ノア様を超敬愛してるんだよ。変な言い方すんな。」
俺がそう言うと、翔はため息をつきながら相槌をうつ。
「ふぅん。
…あっそ。でも俺、ノア様と喋ったことないからな。」
確かに翔とノア様が話しているところを見たことがない。こんなにノア様の近くにいる俺が見たことが無いのだから、翔は本当に話したことが無いのだろう。
「喋らなくていい。一生喋るな。」
この言葉は脊髄反射だ。何故かでてきてしまう。
「言うなぁ。お前。ノア様と俺との扱い、天と地の差じゃね?」
それは大いに共感する点かもしれない。
実際、翔は日本でできた唯一の友達だし、俺の本性を知っているのは翔だけだし…。
ノア様は、俺の人生をどん底から救ってくれたお方だから、友達なんて恐れ多い。
「当然だろ。ノア様はオレの恩人なんだ。タメ口で話すとか、呼び捨てとか、出来るわけない…」
本当は呼んでみたい、呼びたい。でも、そんなこと、俺のプライドが許さない。
そんな気持ちが前面に出て、後ろ向きな言葉を呟いてしまう。
「それ、本人に言おうな。でも、あのフレンドリーノア様のことだから、それは許さないんだろうけどな。」
最初のコメントを投稿しよう!