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ブレザーのボタンを一つずつとめていく。
鏡にうつった自分を見て、思い出す。
俺、相津ノア《あいずのあ》は王子だった。唐突に何を戯けたことを言ってるのだと思うのが、正しいだろう。
今は亡き、シュリミア王国。
そこで、俺は15歳まで宮殿にいた。
だが、革命が起きて、俺たち王族は国外追放。本当は処刑だったが、運良く生き残れた。
お父様…王は責任を取って、俺たちを逃させ、自ら断頭台に立ったのだが…。
俺は、本当に王を、父を尊敬している。
いくら、クーデターを起こされた、愚王だと、言われようとも。
と、云う暗い過去話もあるが、今は楽しく暮らしている。俺は、ここ、日本で、男子高校生として、日々を過ごしている。
王宮にいたころからの、幼馴染、
結城優吾とともにジャパニーズスクールライフを楽しんでいる。
[ピンポーン]
陽気なインターホンの音が、無駄に広い一軒家中に響く。
「おはようございます。ノア様。」
そう律儀に挨拶した、イケメン男子が、優吾である。
彼はもともと、俺の従者だった。(俺自身、従者という言い方は好きではないのだが)
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