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今はそんなややこしい関係はないし、気軽にタメ口で話してほしいのだが、本人はなかなかそうしたがらない。
でも、俺は優吾のことを親友だと思っているし、俺の過去も知っている、良き理解者だとも思っている。
「おはよ、優吾。もう、敬語いいから、タメ口で話そうぜ?」
俺は、そう気さくに、明るく、フレンドリーに話しかけるが、
「いえ、これが落ち着くんで。」
優吾はそう、笑顔で言ってみせた。
風に靡く短くも、サラサラとした、真っ黒な髪。
まばたきをした瞬間にうかがえる、長い睫毛。
高く、整っている鼻。
無愛想な感じだが、笑顔を見せるその表情は、人の心をうつ。
自分の幼馴染ながら、コイツは正真正銘のイケメン。
そして、頭脳明晰、運動神経抜群、優しいときたら、もう、ツッコミどころなんて、ある訳がない。
でも、俺は知っている。コイツ、結城優吾はとてつもなく、猫を被っていることを。
「もう、演技はいいから。知ってるぞ、俺。お前が猫被ってんの!」
優吾のハッとした表情に、思わず頬が緩んでしまう。しかし、優吾はこのまま、コレを通すらしい。
「え。知ってたんすか?でも、この口調はやめられません。ノア様は、俺の恩人なので。」
「えっ!じゃあ、せめて、呼び捨ては?
ノアって、言ってみ?」
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