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なんかいい方法ないかな、っと、思って。」
シャルは俺の元婚約者。
追放された時、彼女の一族も一緒に逃げようとしていたのだが、王の計らいによって、シャルの一族は咎められることもなく、上級貴族として、今もシュリミア共和国で暮らしている。
彼女は何とか監視の目を潜り抜けて、俺に手紙を書いてくれた。
だから、今度は俺も何か返したいのだが、手紙を書いても、シャルのもとに届く可能性は低いだろうから…。
「…シャル様から??相変わらずアンタら、どうやってあの厳しい監視を潜り抜けてるんだか…どんだけ策士なんだよ…ですか。
そうっすね。こっちからシュリミアに手紙を書くのはお勧めしません。実際、手紙の中身は、先にシャル様以外の人が見るでしょうし、筆跡などで、簡単に勘付かれますから。
ですが、シャル様にしか分からないものであれば良いと思いますよ。バレても知りませんけど。」
明らかに無理をしている敬語の優吾。
そんな優吾の指摘を踏まえ、顎に人差し指と親指を添えて考える。
「シャルにしか分からないもの…
折り紙とか?」
咄嗟に出てきた、一番身近なものを例に出してみる。
「確かに、ノア様…ノアらしいっす。」
今度は無理をしているタメ口の優吾。
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