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また失敗しちゃった
けれども……最初の恋人も、その次の恋人も、その次もその次も、全くうまくいかなかったのだ。すぐに駄目になって落ち込んで。それでもいつの間にか立ち直って、また新しい恋を探す。
娘の美楽の目から見ても、絵莉は恋に貪欲すぎるモンスターであった。
だから――
「もういい加減、諦めたら?」
美楽はついつい、冷たい答えを返してしまっていた。
「もぉ~う! 美楽ちゃん冷た~い!」
「いつもいつもすぐ駄目にしちゃってたら、冷たくもなるわよ。どうせ今度だって、すぐに駄目になるに決まってるもの」
「ええ~? 今度は~、きっと大丈夫だから~!」
「なんでそんなに自信満々なのか、本当によく分からないわ……」
そう呟いた美楽の口から、再び深い深いため息がこぼれる。
「そもそも、そのぶりっ子口調を止めてほしい。いい歳なんだから、もう少し落ち着いてくれないかしら?」と心の中で漏らす美楽だったが、彼女のその願いは当分叶いそうになかった。
絵莉は、中身だけでなく見た目も若い。
どう多く見積もっても二十代にしか見えず、中学二年生の美楽と一緒に街中を歩いていても、姉妹に間違われるくらいだ。
白く透けるような美しい肌の持ち主で、顔にはシワもシミも殆どない。その美貌が衰えることは、当分の間ないだろう。
そんな妖艶な魅力を持つ絵莉に言い寄られて、その気にならない男は少ない。
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