556人が本棚に入れています
本棚に追加
「もういいぞ、アザミ」
「はい……」
西園寺のゆるしを得て、アザミが腹の辺りのちからを抜いた。
彼の後孔から漏れた白濁が、シーツの上に染みを作った。アザミがゆっくりと立ち上がると、糸を引くようにそれがぬめり、ポタポタと新たな精液が落ちた。
「縄の痕は、大丈夫か?」
「はい」
「痛むところはないか?」
「はい」
アザミは西園寺の問いに頷きを返し、白い手首をさすると艶然と微笑した。
「西園寺様。アザミの体はいかがでしたか?」
男娼の質問を、西園寺は鼻で笑う。
良かった、と答えても、男娼の具合がいいのは当然で、大した褒め言葉ではないだろうと思えた。
それとも、マツバよりも良かった、と言わせたいのだろうか。
西園寺がちらとアザミに視線を流すと、アザミは長い睫毛を伏せて瞬いた。そして、うつくしい双眸に西園寺を映し、挑発的に赤い唇を歪める。
「西園寺様。アザミは乳首で達したことなどこれまでに幾度もありますし、縛られることにも慣れております」
西園寺は目を眇めて、嗤う男娼を睨んだ。
最初のコメントを投稿しよう!