556人が本棚に入れています
本棚に追加
アザミが体を横倒しにするのと、西園寺が上半身を起こしたのは同時であった。
「きみの孔の具合はよくわかった。だけど……ゆるしも得ずに勝手に跨るなんて、マツバなら絶対にしないな」
整った顔を、酷薄に歪めて。
西園寺が笑う。
ずるり……とアザミの中から牡が引き出された。
閉じ切らない後孔が、男を求めてパクパクと口を動かしている。
「行儀の悪い男娼には、仕置きが必要だ。アザミ。きみはいつもあんなふうに客に対してマウントを取ってるんだろう。それも悪くないけれど、俺は、気の強い子を服従させるのも好きなんだ」
語りながら、西園寺が立ち上がり、蜂巣に備え付けられた和箪笥の引き出しを開けた。
褥に戻って来た西園寺の手には、赤い荒縄があった。
「よく手入れされた良い縄だ」
その触り心地をそんなふうに評して。
西園寺が横たわるアザミの肌に、縄を当てた。
「きみには赤が、よく似合うな」
西園寺の声に、アザミはこくりと喉を鳴らした……。
最初のコメントを投稿しよう!