シンデレラと義姉

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お城から使いの者が来た。何やら舞踏会で会った女性を探しているらしい。国中の女に靴を履かせて。何やらよくわからないが靴を履けた女性を妃にするらしい。それにしても小さな靴で私も姉も、母も当然履けなかった。 でもあの子は履けた。何かの間違いだと姉たちが喚くのに私も入る。そんな、そんな、だって、まさか、うそ。とんとんと話が進み、あの子は王子と結婚するらしい。姿形も心までも美しい彼女が幸せになる。めでたしめでたしで終わるらしい。 「靴が脱げたからってそのまま捨てたりしないわ。わざと脱いで置いてったの。舞踏会に行けば何とかなると思ったわ。お金で着飾っただけの人達に私の美しさが負けるはずないものね」 ねえさん、と彼女が呼んだ。 「私はずるくて醜い心の歪んだ女だからこれ以上あなたのそばにいられないの。大好きよ、本当にあなたのことが好き」 彼女にキスをされて自分の感情に気付いて、あの子の感情を理解したところでもうどうしようもないのはわかってた。 めでたしめでたしでこの話は終わるんだ。頑張ったあの子が幸せになった話として。私はこの想いを一度も口にすることなく終えるのだ。
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