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それから半年。
荒川の河川敷は相変わらずのどかだが、日本という国はますます寂れている気がしなくもない。
対してサイタマは新たな国としての地盤を固めていた。
京乃介にとって意外だったのは、主な産業基盤だ。
簡単に言えば、それは人である。
頭脳や技能を貸し出すことで、サイタマは国としての発展を目論んでいるようだった。
それが風聞ではないと確信したのは、日課である河川敷の散歩の帰り道だ。
一般道に出ると、京乃介はふいに呼び止められた。
振り返って目を丸くしたのは、そこにいたのがかつての従業員の熊谷だったからだ。
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