前書き

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 2019年の元旦を無事に迎えた。よくここまで生きてこられたものだと思う。すでに、父の死んだ年齢より5年も長生きしてしまった。  定年退職して2年半が経過し、前回のレポートから1年間が経過した。しかし、私の生活に大きな変化は何も起きていない。まぁ、62歳の老人に、大きな変化が起きる筈もないのは想定通りだ。ただ、昔の経済白書の言葉を借りるなら、「もう『定年後』は終わった」と感じている。これ以上、定年準備大学のレポートを提出する気持ちにならないから、「加速しながら死へ」の連載を始める。いわば、「定年後」から「死の前」という枠組みの変更が起きている。これからは、死ぬことしか考えずに生きていく。  最近まで、高齢になるにつれて時間はゆっくり進むようになり、最後はすべてがゆっくり停止して死ぬという「死」のイメージを持っていた。しかし、どうやらこのイメージは違うようだ。少なくとも今の私の感じている死とは違っている。私の人生は今、急加速している。今までより明らかに高速で進みだし、どこまで速度が上がっていくのかわからない恐怖を感じている。社会のモロモロのしがらみを自分で切断し、社会に一人で関わるようになるにつれて、加速が止まらない。  60歳まで生きてくる過程で、私は社会的要請により、自己規制をしてきた。身動きが取れなくなるほどの自己規制だ。その時々に、社会から要請を受けたかもしれないが、今もその要請があるとは限らないものがいっぱいある。なのに、盲目的に自己規制してきた。例えば、読書する時には、本を汚さないで読むようにいわれて、キレイに読むようにしてきた。しかし、今、私は、本は汚している。本に書かれた情報の価値より、自分がその本を読んだ時に感じた思いの方に価値がある思う。そうなら、読んだ時に何を感じたのか本に書きこんだ方がいい。線を引いて、「これは間違っている」と書いた方が後から読んだ時、重要な情報となる。自分が買ったものをどう使おうが自由だということにようやく気がついて、やりたいようにしている。
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