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 手を引かれるままに入った大広間のテーブルには、所狭しと料理が並べられていた。 「……すごい……」  初めて目にするご馳走の山に呆気に取られていると、どやどやと大勢の声が近づいてくる。  つい、と若旦那が明空の耳元に顔を近づけた。 「大方気のいい連中だけど、ちょいと荒っぽいのも混じってるからね。あたしの側を離れるんじゃないよ」  訳が分からないまま頷いて、明空は若旦那と並んで席に着いた。  ややもせずに姿を見せた『妖怪』たち。  目にした瞬間、明空は出かかった声を息と一緒に呑み込んだ。  テレビで見るデフォルメされたキャラクターなんか比にならない。  人とは全く違う姿形の彼らに、恐怖しながらも目が離せない。 「あんまり見るんじゃない。目を合わせないことだ。猿と一緒だよ」  そう言って、くすりと笑う。  それで少し緊張が緩んだ。  妖怪達から若旦那へと視線を移し、ほっとしながら頷く。  そこへお千がやって来て、蓋付きの椀を明空の前に置いた。 「あんたは取り敢えずこれをお上がんなさい」  そう言って、お千は椀の蓋を取る。  かき玉のあんかけが乗ったうどん。  ほわん、と立ち上った湯気に顔を撫でられて、思わず目を細めた。     
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