スイの図書室

これが翠との出逢いだった。

目の前は、どこかいつもと違う景色。

どこが違うのかというと、見覚えはある、けれど見慣れない、一応クラスメイトであるらしい女子生徒が、僕の目の前の席にいたことだ。

彼女はよくある内気な不登校の女子生徒みたいに、伸びかけた髪を後ろで束ね、透明の淵のメガネと白いマスクと、多すぎるショッカクで顔の大部分を隠していた。

彼女の名は、北村翠といった。いつも目の前の空席の椅子に書かれた名前が目に入っているからそんな生徒が存在することは知ってはいたが。