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「はい」
夕飯の準備をしていた裕子は電話をとった。
「山田誠也さんのお宅ですか」
「そうですが」
「担任の高野です」
「あっ、はい、いつもお世話になってます」
なんの話なのだろう。家にまで電話をしてくる用事があったのかと裕子は思った。子どもたちがほぼ毎日書く『毎日ノート』という予定帳兼日記ノートが先生と子どもを往復していて、親への連絡欄もある。そこに書けば伝わるのに、電話をしてきたのである。
「お母さん、今日のこと聞いてますか」
「えっ」
「今日、放課後リコーダーの再テストをするので誠也さんに残るように言いました。それなのに、残っていない。帰って行く誠也さんを見つけ、教室に戻るように言ったんです」
「はぁ」
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