1

4/13
前へ
/212ページ
次へ
「再テストから逃げたことを注意したら、わめきだして、机の脚を蹴って、蹴り倒して帰って行こうとしたのでつかまえて押さえつけました。泣いてあばれて私の言うことに耳を貸しません。もう大変でした」 「すみません」  とりあえず、裕子はあやまったが、「ごめんなさい」とは言う気には何故かなれなかった。 「一生懸命にお話したのですが、泣きやまず全く私の言うことを聞こうとしません。そんな時お母さんはどうしてるんですか?」 「ほうっておきます」 「ほうっておくんですか? 叱らずに?」 「はい、泣きわめいてる子に何を言ってもとどきません、興奮していますから。泣きやむのを待ってから話をします」 「それでいいんですか? とにかくきちんと叱ってください。二度とこんなことがないように」  そんな悠長なことでいいのかと、とがめているのだろう。 「申し訳ありません」
/212ページ

最初のコメントを投稿しよう!

38人が本棚に入れています
本棚に追加