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裕子は高野からの電話を終え、いつものように子どもたちと夕飯を済ませ、何ごともなかったかのように過ごした。そして他の子どもたちが寝てから、誠也に話を聞くためリビングに呼んだ。
本当はここに夫の純一にもいてほしかったが、仕事が忙しく11時を回らないと帰ってこないのだから、裕子が一人で息子の話を聞くしかないのである。
「リコーダーのテストで残れとは言われてない。聞いてない」
「ほんとに?」
「聞こえてたら、ちゃんと残った」
「なんで、あばれたの」
「逃げたって決めつけた。聞こえなかったって言ったら、先生が僕の名前を呼んだのは間違いないし、嘘はだめ、逃げたんだよね、って。何回も先生が大きな声で言うから、急にわーってなって、わけがわかんなくなって近くにあった机を蹴ってた。そしたら机が倒れて……」
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