Last scine

6/7
179人が本棚に入れています
本棚に追加
/166ページ
「いいんだよ。俺には足りなかった。準備が。あいつらに比べて。――闘う意思。何が何でも勝つという覚悟も。あのガキ。初めからこうなるって分かってて――。大したもんだ」  薄く嗤う俺の顔をみると、ユキは怒ったように声を荒げた。 「違う。私だ。私が護れなかった。未熟で、甘くて、弱い――」  ユキが俺の背中に手を回す。みるみるうちにその掌は赤く染まり、ぽたぽたと雫が路面に滴り落ちた。 「止まらない。血が。止まらない。くそう。くそう・・・・・・」  俺の胸に顔を(うず)めたユキが、震える声を漏らす。弱弱しく肩を揺らしながら。なんだ。もしかして泣いているのか。そんなわけないよな。  だんだんとこの胸の鼓動が弱くなっていくのを感じる。眩しい。世界が。冷たくて、心地よかったり、揺れ動いたり。 「なあユキ」  ふと顔をあげる。その眼は真っ赤に充血していて、きらきらと潤んで光っている。  奇麗な目だ。俺の胸に暖かいものが滴り、濡れていた。 「俺は」  じっとみつめる。ゆき。すいこまれそうだ。 「俺は――何者だ。おしえてくれ」     
/166ページ

最初のコメントを投稿しよう!