非凡な日常

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梟といえば「ホーホー」という鳴き声が有名だが、他にも梟は「ぴぃ」だとか、「ぴょろろ」だとか、割と色んな鳴き声を持っている。 ……そんな豆知識どうでもいい! 「お前ぇ、その『ぴぃ』は肯定かあ?それとも否定かあ?」 「ぴぃ」 「…………はああぁ……」 ダメだこりゃ。 掴まれたのを無効化できるくらい力があるのだから、多少コミュニケーションを図れるんじゃないかと、コイツが俺の肩に憑いてからほぼ毎日話しかけているのだが、会話が成立したことはただの一度も無い。どうも一方通行になっているらしい。 「俺、このまま若くして死ぬのかな。」 絶対コイツに何か吸われてる。 例えば……生気、とか? 「案外笑えない……」 十分あり得てしまった憶測にただひきつったような笑みを浮かべることしかできない。 将来、自分が生きている姿があまり想像できず、軽く絶望していた。 …いやいや、絶望してる場合じゃないだろ、他のクラスメイトより多く課された宿題を今日中に終わらせないと! 不安な気持ちを振り払うように、無理やりそう考えて体を机へと向ける。 けれど、10分もしないうちに眠気のあまり、学校と同じように机に突っ伏して寝てしまった。 そうだ、これも梟のせいなんだ。決して目の前に広げられた宿題のせいなんかじゃない。 ……多分。
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