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そうして、ただでさえ広い校舎をあっちへこっちへと奔走しているうちに、もう日さえも暮れてきて、窓の外からは茜色の夕暮れが見える。
担任からだけでなく、他の先生たちからも丸1日こきつかわれた疲労感は日暮れを見た瞬間ピークに達して、これぐらいいいだろうと、持たされたプリントの類いを窓枠に置いて、疲れた身体を窓辺に寄り掛からせると、はあ、と深く溜め息をついた。
俺はもうずーっと「視える」せいで、変な「梟」が俺を眠らせてくるって訴えてるのに、まーったく理解してくれないくせに。
なんで俺ばっかりが罰を受けなきゃいけないんだ。踏んだり蹴ったりじゃないか!俺は被害者なんだってのに!
俺をこんな状況に陥れた原因をキッと睨み付けるも、当の本人は肩の上ですぴすぴとうたた寝している。
その様子を見て、なんだか毒気が抜かれてしまって、さらに深い溜息をついてしまった。
お前はいいよな、先生には視えないのを良いことに俺に悪戯して、俺ばっかりが罰を受けてるのを知らん顔でそうやって寝ていられるもんな!
朝の担任には及ばないけど、それなりに腹を立てていると…
「うわっ……!?」
背後から急にビュッと風が吹き込んできた。
……それと同時に何かがバサバサっと音をたてて目の前で舞い落ちていった。
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