「非凡な日常」が崩れ去ったら何になるんだろう。

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「あっ…!」 何かと思えば、どうも窓枠に置いておいたプリントが、突然吹いてきた一陣の風に飛ばされて廊下中に散乱してしまったらしかった。 __今日は風が少なかったとはいえ、窓枠なんかに置いておいたのは迂闊だった! 相当疲労困憊していたせいか、判断力が鈍っていた先刻の俺を恨めしく思った。 暫く呆然と立ち尽くしていたけれど、そのプリントを職員室まで運ぶのが今日の最終ミッションだったと思い出す。 「ウソだろ……」 これさえ終われば……そうは思うけど。 ………思うけどさ! めんどくさいんだよ! 何度目かわからない溜息をまたついて、そこら中に散らばってしまったプリントを一枚一枚拾っていくのは骨が折れるがやるしかない、と重い腰を上げようとした。 その時。 「うわっ!」 手に取った紙が、まるで意思をもっているかのように俺の手を振り切り、逃げ出した。 さっき咄嗟に窓は締めたし、風ではないよな? 混乱している間にも、そこら中に散らばっていたはずのプリントが勝手に動き出して、目の前にどんどん集まっていく。 それも適当ではなく、上下や裏表、四すみまでもが几帳面に綺麗に揃って積み重なっていった。 「……へ?」 なんで、紙が、ひとりでに、集まって、綺麗に揃ってんの……?
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