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最終的に綺麗に積まれたプリントの山を前に、さっき紙を拾おうとして片膝をついたその体勢のまま混乱のあまり固まってしまっていると、すぐそこからクスクスと笑い声が聞こえた。
恥ずかしい所を見られた!と思ってすぐさま顔をあげると、俺と同じ年の頃の様に見えるが、今までに一度も見たことのない少年が口元を歪めていた。
「はははっ!あんな絵に描いたようなびっくりした顔、久しぶりに見た…ぶふっ!」
俺の顔をちらりと見て、どうやら俺の先程の仰天顔を思いだしたらしく、大袈裟に腹を抱えて再び笑いだした。
「……だからって、ヒトの顔見て笑うのはどうなんだよ?」
怪訝な目で彼を見遣ると、彼は笑いを急に止めた。確かに注意はしたけど、こんなに急に笑いを引っ込めるとは思ってなかったから、こっちがびっくりしてしまった。
しかし、動きを止めたその体勢のまま顔だけを上げて、再び俺の顔を見るやいなや、また、ニヤりと口角を上げた。
「なるほどね、面白いや。」
なんだ、その意味深な発言は。
アニメとかでありそうな伏線的なその発言は一体なんだ。
中二病なのか?お前。
「まあまあ、そんな怪しい人を見る目で俺を見ないでよ。」
そうは言いつつ、未だにニヤけを抑えようとしない辺り、別に不審者として見られることに何も抵抗がない気がする。
疑いの目を向けられてもなお不審な行動をするやつは怪しいに決まってるだろうに。
「そんなこと言われたって、突然笑いだしたかと思えば、注意したら一瞬笑いを止めて、そしたらまたニヤけながら『面白いや』なんて言う人のどこを信用すればいいんだよ。」
我ながら正論を叩きつけてやったと思う。
けれど、彼はやっぱり不敵な笑顔を浮かべ続けている。
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