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「ゆうちゃーん!」
金髪の少年は現れるなり、目の前の彼に抱きついた。
気が遠くなってはいるものの、耳がおかしくなっていなければ、梟だけでなく俺の額にも札を貼りやがったコイツの名前には『ゆう』がつくらしい。
「ゆうちゃーん、寂しかったよー!」
そういうと、少年は彼の胸に頬擦りし出した。
……てか、倒れてる俺と梟にはノータッチですか!?
「どうした?メイには見張りを頼んでたと思うけど?」
「ああ、そうそう。それなんだけどね、そろそろマズイよ。」
どうも、『メイ』と呼ばれた少年は『ゆうちゃん』がたてた見張り役だったようで、撤退する時間を知らせに来たようだ。
「えー、まじか。……うーん。じゃあ、君!そろそろ帰らないとまずいらしいから、俺は帰るわ!札の効力を説明できないのは申し訳ないけど、多分君に憑いてた梟はわかってると思うから、大丈夫!じゃ、また会う日まで!」
そういうと、『ゆうちゃん』と『メイ』はさっき『メイ』が現れたのとは逆に、すうっと姿を空気中に霧散させて消えてしまった。
「………………む、無責任な……。」
説明必要だよ、悩み事解決してくれるんじゃなかったのかよ、てか、最後なんで俺に札貼ったんだよ!
意識を失う寸前だというのに、ツッコミを入れまくった俺は『緊張感が無さすぎだな』と、これまた緊張感のないことを思いながら意識を手放していった。
これは、あとの祭りってやつだけど、後から考えれば、この時の俺は本当に能天気だった。
この時は、この日以降、どんな世界が俺を待ち受けるのか、予想だにしなかったんだ。
まさか、色々なモノを巻き込んだ大きな災禍に巻き込まれ、『あの時、窓枠にプリントさえ置かなければ』と後悔する時が来るだなんて、夢にも思わなかった。
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