非凡な日常

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ネットで調べた情報によると、こいつは「たたらもっけ」と呼ばれていて、死んだ嬰児が梟に憑いた妖怪らしい。 まあ、肉体をもった梟に憑いただけなら視えない人でも外見の肉体の梟が見えるはずだから、憑いていた梟さえも死んでしまったのだろう。 憑いていた肉体が失われても残っているような執念深い妖怪が、何で俺なんかにとり憑いてるのか、皆目見当もつかない。 こんな時、桃実家に陰陽師がいれば、と本気で思う。だけど、残念ながら桃実家に陰陽師はいない。陰陽師どころか、俺以外に「視える人」すらいない。それほどまでに桃実家は衰退してしまっているのだ。 そんな現状では当然、家庭内で俺に憑くモノの正体なんて見破れるはずもない。 それなら、陰陽師に依頼すればいいじゃないかって思うかもしれない。だけど、なかなかそれもできない。 まず、現役陰陽師たちは数少ないせいで多忙だ。たかが「正体を判断する」だけの少額依頼に、その貴重な時間を割いてなんかくれない。 それから、陰陽師への依頼料はとんでもなく高い。さっき少額依頼とは言ったけども、それすらも簡単に出せるような額ではない。 それに、眠くなる以外の実害がないせいで家族からもあまり真剣に考えてもらえず、この肩の梟の正体は10年間わからないまま放置されてしまっている。
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