序章

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  §  §  § 「テンサイだっ。うちの子はテンサイだぞ!」  てっきり大激怒で叱られると思っていたジュークは、拍子抜けして、双子の姉に問うた。 「なあ。この泣いてるのって、どっちの意味だと思う?」 「さあ。両方じゃない?」   姉は、同じ四歳とも思えない大人ぶった仕草で小さな肩をすくめた。  戦場から戻った父グランドも母セレナも、泥と埃にまみれた軍服姿のままで、我が子を抱えこんだ。  アルト・レイヴンハート  ジューク・レイヴンハート  王都に轟く規格外コンビ〝レイヴンハート家の双子〟は、ここから始まった。
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