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「嫌だ。おれは、おれだけは姉貴のそばに――」
「ジューク。いい加減しろ。聞き分けるんだっ」
父グランドが叱りつけてきた。
「セレナ。グランドも頭ごなしはよしなよ。少し説明してあげるべきだ」
叔父ロークワゴン・ダイヤクロウが、ジュークを正面から見つめた。
叔父は一本のマッチをおれの前に差しだしてきた。
「ジューク。これ、何かわかるかい?」
「マッチに……きまってんじゃん」
「そうだね。じゃあ、これに魔法で火を点けてごらん。ただし、僕の顔を焼かないようにだ」
「できたら、アルトと学校に通える?」
「いいとも。僕が許可するよ。僕の学校だからね」
姉と一緒に……っ。ジュークは、マッチに手をかざした。
やがて、その手はいつの間にか拳に変わり、ついには人差し指だけをマッチに近づけて、さらにもう一方の手でその手首を掴んで支えた。
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