170人が本棚に入れています
本棚に追加
いつの間にか呼吸が乱れ、額に汗が噴き出しても、ジュークはマッチに火をつけられなかった。
ロークワゴンは、満足そうに頷いた。
「うん。良いんだよ、ジューク。きみは、このマッチに小さな火を点けることを目的にしながら、でも頭に浮かんでいる情景は焚き火の火だったろう? それが魔法という魔物の正体だ」
「魔法が、魔物?」
「そう。魔法は魔物なんだ。影も形もない所にいて、僕たち魔法使いが呼び出して使う、魔物だ。
アルトは、元々それを呼び出せない。マナがないからね。
だけど、【両双家】――竜の魔術師である以上は、彼女にもこの魔物を操ってもらわなくてはならない。
きみは、その逆なんだよ。ジューク。
最初のコメントを投稿しよう!