第1章 マナゼロ優等生

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〝万博公〟ダイヤクロウ公爵ロークワゴンである。  外齢は十二、三歳。 【両双家】ダイヤクロウ家の次男であり、この魔術師学校・クローディア法術学院の三代目学院長だ。  グランドとは従兄弟(いとこ)であり、十二年におよぶグランドの学生時代の目撃者にして共犯者でもある。 「ローク!」 「そんなに何度も呼ばなくても、耳はまだ確かだよ。用件も、そのゴブリンがひと目で卒倒しそうな顔を見れば、だいたい察しもついてる。  ――あー、マーチン。すまないが、ランチに出かけたカモミール女史を見つけて、飲み物を二つ持ってきてくれるよう頼めるかい。  まだ片付けておかないとならない書類があってね」  副学院長は、この場を離れる口実ならなんでもよかったに違いない。  二つ返事で部屋を飛び出していった。
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