第1章 マナゼロ優等生

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「いや、ちょっと待ってよ。……おっ、あったあった。あっぶない。他国の親書に混ざりかけてたよ。  はい、これね。彼女がここに通った五年間の、全成績を表にしてみた。紙はこういうのをまとめる時、便利だからね」  おっとり差しだされた一枚の薄茶けた紙には、数字や図表が書かれていた。  グランドはしばしの間、それを食い入るように見つめていたが、やがて(ひたい)に玉の汗をつくり、ついには低く(うめ)きだした。  眉根を寄せて、学院長を見つめる。 「ローク。あれに持たせてるのは、うちの秘蔵の〝天使のナイフ〟なんだぞ。それすらマナ感化しなかっただと? マナの素養評価はその、正確なのか?」  ロークワゴンは同情するように幼顔を横に振った。  
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