第1章 マナゼロ優等生

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「魔法の実技演習の追試験は毎年、彼女だけ異例の三度もやったよ。その最終結果がそれさ。  立会人は、僕らもしってる当学院が誇る上級魔術師。目も頭もまだまだボケちゃくれないよ」 「そんな。これをそのまま信じろってのか。……まるで兵站(へいたん)(戦場での補給支援のこと)を切られて、糧食(りょうしょく)が尽きちまった気分だ」 「だろうね。心中お察しするよ。ブランデー、飲みかけがあるけど、いるかい?」 「いらねぇよ……。飲んだところで、この絶望が(やわ)らいじゃあくれねぇ。ていうか、お前。酒なんか呑めないだろう」 「うん、マーチンの。こっそり没収ね」  哀れな、副学院長だ。せめて帰りは優しく声をかけてやろう。
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