第1章 マナゼロ優等生

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「魔法の基礎理論、術式回路プロセス、魔法机上演算、およそ魔法理論体系において、彼女の魔法使いとしての知識はトップクラスだ。  でも、ただ一点。魔法の実質的素質――彼女の血に魔法と契約するための原資(げんし)となるマナ感応力が一粒も存在しなかった。  ぼくも親からここを継いでまだ三〇〇年くらいだけど、こういうケースがないわけじゃないんだ。成績優秀だけどマナが(こた)えてくれない――魔法契約できない生徒はいたよ。  でもぼくは彼らに国政各省庁へ太鼓判(たいこばん)を押して推挙したし、実際今もバリバリ働いてくれてる。  でも、彼女はダメなんだ。  アルト・レイヴンハートは、僕ら【両双家】の一族だから。
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