第1章 マナゼロ優等生

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 この王国ダリアに君臨する【四双家】の家名を持ったまま、魔法を必要としない国政省庁に行くことは事実上、不可能だ」  グランドはとどめを刺されたように、がっくりとうなだれた。 「すべては血か。この()(およ)んで……お前は、おれに女房の不貞でも疑えってのか?」 「あっははは。ナーンセンス!」  ロークワゴンは、腹を押さえて子供みたいに肘置きを叩いた。 「〝隠密(おんみつ)公〟自身が、ぼくら以上に自分たちの血統しか信じてない偏屈屋だ。だから妹のセレナをきみに手放しもしたんだろう?  建国から一五〇〇年。僕ら【両双家】が常に近親交配でやってこれたわけでもない。外からの血も入れなければ、とっくに滅んでたよ。  他国との政略結婚上等。恋愛結婚にしたって、相手の血統を(すみ)から隅まで調べて、ここまでやって来れたわけだからね」
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