第1章 マナゼロ優等生

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「くそっ。こんなこと初めてだ」  力なく吐き出して、グランドは冷たい額の汗を(ぬぐ)った。  ロークワゴンは、少し躊躇(ためら)ってから、 「やっぱり〝擬死回生(アスシュナミル)〟の――」 「うるせぇっ! その話をこの場で声にするなっ!」  グランドがギロリといとこを睨む。  そのひと睨みでロークワゴンは怯えた様子でうつむいた。 「ごめん。僕が軽率だった」 「いや……なあ、ローク。それ以外で、他に考えられる理由は思いつかねぇのかよ」 「十七年だよ。あの子が生まれてすぐマナが応えないって分かって、十七年間も探して糸口さえ掴めない。悪いけど、最近はもう、どうでもいいかなって思い始めてる」
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