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「ローク。勘弁してくれ」
今度はグランドがいとこを制する側に回るはめになった。
「【両双家】が滅びて得するのは魔物くらいだ。
おっ、じゃあ。こういうのはどうだ?
おれか親父どのが死ねば、アルトにマナは戻るかもしれねぇ」
ロークワゴンはひどいジョークを聞いたみたいに、完全にそっぽを向いた。
「マナは命では輝かず、命の輝きにのみ応える。
命を代償にしてマナを得ようなんて〝魔女〟の所業だ。
僕らは、良くも悪くも、魔法使いだよ。
第一、生まれた時から〝ゼロ〟のものを、
誰の命と引き替えたって〝ゼロ〟からは何も生まれりゃしない。
それは万象法則に反する。
真面目に考える気がないのなら、この話はもうやめよう」
「待てまて。あー、ん~。なら、こりゃあもうあれか。
ウチだけ殺生をしすぎたタタリ――」
「グラン。心にもないのに宗教心だすのやめなよ。
きみが悔悟の心から宗教に目覚めて喜ぶのは、
クーパー司祭くらいさ」
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