第1章 マナゼロ優等生

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「ローク。勘弁してくれ」  今度はグランドがいとこを制する側に回るはめになった。 「【両双家】が滅びて得するのは魔物くらいだ。  おっ、じゃあ。こういうのはどうだ?  おれか親父どのが死ねば、アルトにマナは戻るかもしれねぇ」  ロークワゴンはひどいジョークを聞いたみたいに、完全にそっぽを向いた。 「マナは命では輝かず、命の輝きにのみ(こた)える。  命を代償にしてマナを得ようなんて〝魔女〟の所業だ。  僕らは、良くも悪くも、魔法使いだよ。  第一、生まれた時から〝ゼロ〟のものを、  誰の命と引き替えたって〝ゼロ〟からは何も生まれりゃしない。  それは万象法則に反する。  真面目に考える気がないのなら、この話はもうやめよう」 「待てまて。あー、ん~。なら、こりゃあもうあれか。  ウチだけ殺生(せっしょう)をしすぎたタタリ――」 「グラン。心にもないのに宗教心だすのやめなよ。  きみが悔悟(かいご)の心から宗教に目覚めて喜ぶのは、  クーパー司祭くらいさ」
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